たったの100年

 久しぶりに、ピアノってこんなこと勉強します!として、これからピアノを始めたいなという方に、私の経験からこれを知るともっと楽しくなるはず!と思うことを少しずつご紹介します。

 そうは言っても、直接ピアノプレイのことではありません。


 私たちがピアノを習う時、たった4小節くらいの曲から数えればもう何百曲何千曲弾くのでしょうか、ものすごい量の曲を弾いていくことになります。

 最初は楽譜を読めるようになるためにつくられた導入の短いものですが、これで読譜と指や体の使い方を練習していきます。これがひととおりできるようになると、いよいよ有名なクラシックの作曲家が書いて数百年と使われ(弾かれ)続けてきた、音楽を弾いていくことになります。

 

 日本では、クラシックってなんとなく高貴なもの、とか近寄りがたいというイメージを抱く人もいるのかな、、 

 悲しいかな、日本では専門的に音楽を学ぶということは、経済事情も絡んでくるし、そんなことも関係するのか、しないのか、ひとつ違う段に上げて捉えられるような気がするのは、私だけでしょうか・・・。

 

 ずいぶん前、BSで「近衛秀麿」という方の紹介をしていました。

 1933年頃、ドイツのベルリンフィルで日本人として初めて指揮をした指揮者、作曲編曲家です。当時、クラシックの楽譜などなかった日本にたくさんの楽譜を買い込み、もって帰れない場合は分厚いオーケストラのスコアをすべて手書きで書き写した、というエピソードもありました。

 また、日本の童謡で有名な「赤とんぼ」や「この道」などを作曲した山田耕筰と共に西洋の音楽を日本に取り入れることに尽力し、今のNHK交響楽団の前身や東京フィルなど、たくさんの楽団を結成していたるところで演奏し、日本でのクラッシック(オーケストラ)の第一歩を築いた人です。

 途中、戦争などに巻き込まれながらも、です。

 晩年には、ヨーロッパだけでなく、アメリカにも行き、無名有名問わず様々な楽団の指揮をし、日本の演奏とヨーロッパ楽団のレベルの差を痛感したそうです。

 日本での大きな意味で今につながるクラシックの始まりは、この辺りだったのですね。

 とすると、クラシック音楽が本格的に日本に入ってきてまだ100年に満たないと思います。

 たったの100年・・・一世代とちょっとです。


 クラシック音楽は、現代までに全世界で生み出されてきた様々なジャンル(ジャズ、ポップ、ロック、フォーク、ブルース、ゴスペル、ヒップホップ、レゲエなどなど)の中の1つです。

 あ、もちろん日本の民謡や、童謡や演歌なんかも含まれます。


 私は、今までいろいろなジャンルの音楽が好きで聴いてきましたが、クラシック音楽は全ての音楽の原点のような気がして、最後にはいつもクラシック音楽に戻ってきます。

 

 クラシック音楽の発祥は西洋です。ヨーロッパ各地でこのジャンルは始まりました。

 そして、これは現在のような楽しんだり、勉強するための音楽ではなく、神様や自然に祈ったり、病気を治すために祈ったりと、生活に密着したものが始まりだと聞いたことがあります。もしかしたら、日本で言うお経? 心のよりどころ? パフォーマンス? 

 宗教的なことがあるので、日本人には、少し理解しがたいこともあるとは思いますが、

 西洋の「祈り」からクラッシック音楽が生まれていることは確かなようです。


 以前、少し触れましたが、クラッシックはおおまかに4つの時期に分けられています。(年代はおおまかに)

 ①バロック 1600年~1750年 

 ②古典派  1750年~1800年

 ③ロマン派 1800年~1800年後半

 ④近現代  1800年後半~2000年代

 

 先ほどの、近衛秀麿たちが日本にクラシックを広めていた時代は、ヨーロッパでは④近現代の時期に入っていました。そう、ヨーロッパではとうに3期も過ぎ去っていた頃なのです。

 鎖国の歴史のある日本、世界地図では一番東にあるちっちゃい島国日本、文化も何もかも違う日本・・仕方のないことです。

 日本は、かなりの後追いでクラシックに目覚めたのですね。

 


 1900年代初頭、幾多の困難を乗り越えて、生涯を日本にクラシックを取り入れることに尽力してくれた日本人。

 感謝を込めて・・ここが、日本のクラシックの始まりです。

 

 今せっかくこんなチャンスをくれた日本人がいたのだから、

 クラシックを高いところに置いとかないで、もっと、近くに寄り添いましょう

 

 尊敬の気持ちはいつでもあるけど、特別なことじゃない、音楽の原点です。

 


 次回は、ヨーロッパで、どんなふうに、クラシックが受け継がれてきたのか。

 この4期について、私が思うことを紹介できたらと、思っています。

 

 作曲家をもっと身近に感じられるように・・。