31才の生涯

 もし、もう少し長く生きていたら、どんな曲を残してくれたのだろう…
 と思う作曲家が何人もいますが、今日はその中のひとり、大好きなシューベルト。
 シューベルトといえば、ゲーテやミュラーやシューベルトの友人たちの書いた詩にメロディをつけて、600もの歌曲を作曲し、「歌曲王」とも言われています。
 またの名を「3連符のシューちゃん」・・・・これは私がつけました・・
 
 とにかく音楽大好き少年がそのまま大人になったような人で、頭の中にあふれ出るメロディを書きとめるのに手が追いつかない、そんなイメージです。 

Franz Schubert   フランツ シューベルト  (1797~1828)  31歳没 
 若すぎますね、いなくなるのが…

 すこし先輩のハイドンやモーツァルトや、ベートーヴェンの曲もよく聴いていて、作風に現れているものもありますね。
 ちょうど古典派とロマン派の中間とされるシューベルト。
 シューベルトといえば、「歌」の旋律
 この「歌」は、何度も胸がきゅんとします。
 ベートヴェンのように「すごい!」と思いすぎて近寄りがたくなく、心に直に語りかけて、寄り添ってくれるような気がします。
 シューベルトは途中で止めてしまったものも含めてピアノソナタを21曲書きました。
 演奏時間が長いものも多く、アマチュアの人が演奏会で弾く機会もなかなかないのではないでしょうか。
 後期の3大ソナタ、19番、20番、21番は、シューベルトが亡くなる日の2ヶ月前の9月に一気に書き上げたと言われています。
 人生の最後の年1828年に、作曲したものはこのソナタの他にも、4handsの3曲もあります。私の好きな幻想曲D940や「人生の嵐」と出版社が名づけたD947、後半にいくつもの旋律が絡み合う「ロンド」D951です。
 また、最後の交響曲9番や歌曲集「白鳥の歌」などもこの年の作曲です。
 体の具合が悪くなってきていた死の年にこんなに作曲できるものなのですね。

 evgeny kissin      schubert   sonata   D960  No,21  andante sostenuto

 最後のソナタです。キーシンらしい演奏です。

 興味のある方は是非、BGMではなく、本気で全楽章聴いてみてください。

 全部で40分くらいあります。


 ヨーロッパ音楽の中心、ウィーン子で小さいころから純粋に音楽だけに没頭して、安定した地位に就くことも、家庭をもつこともなかったですが、音楽家や、詩人や作家、画家などのたくさんの仲間たちと音楽を楽しんだ短い生涯。

 尊敬するベートーヴェンの葬儀に参列した翌年、シューベルトは亡くなり、生前の希望でベートーヴェンのお墓の隣に眠っているそうです。


 この最後のソナタを聴いて、シューベルトがもっと生きていたら・・・

 と思わずにいられません。