合唱幻想曲~キーシン

 日本では、なぜか年末になるとよく耳にする曲。

 なんでしょう・・。

 もうお分かりでしょうか。


 ではでは、この曲はご存知ですか↓


 若かりしキーシン。そしてアバド。

 この曲はベートーヴェンの「合唱幻想曲」

 正確には、「ピアノ 合唱と 管弦楽のための合唱幻想曲 ハ短調op.80」です。


 最初は、ピアノ協奏曲かな、と思わせます。

 5:18あたりのホルンの音の後から始まるピアノのメロディ、聞き覚えありませんか?

 15分以降には、独唱と合唱も入り交じり、最後の大合唱へつながっていきます。


 このメロディ、「第九」の合唱の旋律と似てる!

と思ってくれた方は、大正解です!

 

 「合唱幻想曲」は「運命」や「田園」を作曲した年1808年、ベートーヴェン37歳の時に作曲。

  最後の「交響曲第9番」は、1824年、53歳の時。

 この間16年。

 「第9」と言えば、クラシックを普段聴かない人でも、第4楽章の合唱部分(通称歓喜の歌とか喜びの歌)が流れれば聴いたことのある身近なメロディかと思います。

 第9の歌詞は、シラーという作家詩人の「歓喜に寄す」に基づいていますが、

さかのぼれば、シラーが「歓喜に寄す」を発表したのが、1786年、ベートーヴェンが15歳の時だそうです。

リアルタイムでベートーヴェンがシラーの詩に触れたかどうかは定かではないにしても、ウィーンに出る前ボンの大学で、「歓喜に寄す」を歌曲にしようとスケッチをしていたようなのです。

そして・・・

↓1795年、24歳時に作曲した歌曲「愛されぬ者の嘆息と相愛 WoO118」

3分過ぎあたりから聴いてみて下さい。

こちらは、別の人が作詞した恋愛の内容のものです。 

 こちらにもあの歓喜のフレーズが!

 

 他にもあるのかわかりません。あるのなら教えてください。。

 でも、最後の交響曲を書くまで、少なくとも30年余りこのフレーズを暖め、実験をしていたことになります。

 どうしてもこの旋律を使いたかったのですね。

 ブラームスの交響曲第1番も20年以上の歳月をかけたといわれて有名ですが、それ以上です。

 あまりにも長く、第9番を作曲して3年後には亡くなってしまうことを考えると、

 「間に合ってよかった!」なんて余計な心配してしまいます・・。

 

 この「合唱幻想曲」はピアノが入ってはいるけど、協奏曲のソロの位置と言うより、オーケストラの一部という感じで、壮大ではないものの、掛け合いの感じがアンサンブル的で楽しく、それでいて最後にはあの第9の雰囲気も味わえるし、コンパクトなつくりでおもしろいです。

 そういえば、以前紹介したキーシンの本の中で、キーシンはこの演奏を振り返って、冒頭の部分は今だったらもっと、即興的に弾くと言っていました。

 どうやらベートーヴェンも初演時、冒頭の部分は即興で弾いていたようです。(ウィキより)

 作曲から3年後に出版されるにあたり、新たに書き下ろされたとあるので、もしかしたら、冒頭はいろんな弾き方をしていたのかもしれませんね。

 

 他にもアンスネス、アリスなど、たくさんの演奏があります。

 みんなそれぞれ違います。お気に入りは誰ですか?

 私はアルゲリッチのが聴いてみたいんだけどな・・


 と思っていたら、発見しました。