レッスン日8とラヴェル

 約半年レッスンでみていただいているベートーヴェンのソナタ。

 譜読みまではある程度スムースでも、ここからつくりあげるまで、克服するまでがとんでもなく長いベートーヴェン。

 どこひとつも気をぬくことができない、どこをとっても大事で、それぞれが難しい。

 もう。今私にある技術の中ではここまでかもしれないと諦める気持ちがチラチラしながらも、近道はないと基本的な低速反復練習を軸に地道にいくことしかできません。

 モーツァルトのソナタは心ウキウキして楽しく弾けるけど、ベートーヴェンはそういうわけにはいかない、曲自体が。

 私にとっては、どうしても厳格、洗練、重い、固いというイメージが付きまといます。

 だからといって、力を入れて弾くわけではない、そうすると持たない。

 私は今、曲の固いイメージと、脱力してダイナミックな演奏の狭間でもがいています。

 

   まだバッハの方が楽しい!   と、逃げたくなってきます・・。



 

 気分を変えて、今日の1曲。

 Ravel  Piano concerto         Argerich & Krivine

 この曲も以前ご紹介したポールデュカスの魔法使いの弟子のように、おとぎ話に出てきそう。

 愉快な感じから突然優雅になったり、突然不安が現れたりと、状況がコロコロ変わっておもしろい曲です。

 でも、私がやっぱりすごいなと思ったのは2楽章。(9分33秒あたりから)

 この叙情的でシンプルな旋律の表現力、さすがです。

 シンプルな6拍子の伴奏の後、最初の1音をポーンと鳴らしたその音の膨らみが、その先が聴きたい!って気分にさせてくれます。

 

 若い時にアバドとやったものも聴いてみましたが、やっぱりこういう緩楽章は年齢を重ねてからのほうが表現に現れるのでしょうか。こちらの方が好きです。


 クラシックに限らずですが、音楽はほんとに生ものですね。

 同じ曲を弾いていても、その時その時で味が変わる。

 そして、それは意識して変えている場合もありますが、意識しなくても変わってくるから不思議です。